占守島の戦い③
終戦を迎え彼らは安堵していた。
何より命の危険がぐっとなくなる。
これで極寒の地から愛する家族の元に帰ることが出来る。
兵達は速やかに武装解除を進めていた。
しかし、8月18日事態は急変する。
ソ連軍の攻撃が始まったのだ。
集結した戦車隊の部下を前に池田大佐が発した言葉は衝撃的だ。現代サラリーマンは心して読んで貰いたい。
「諸君は今、赤穂浪士となり恥を忍んでも将来に仇を奉ぜんとするか、あるいは白虎隊となり、玉砕をもって民族の防波堤となり、後世の歴史に問わんとするか?赤穂浪士たらんとする者は、一歩前に出よ。白虎隊たらんとするものは手を挙げよ!」
全員が喚声とともに手を上げたという。
彼らは再び武装を整え、ソ連に突撃していった。鬼気迫る攻撃によりソ連軍を壊滅寸前まで追い込むことになる。
生きて帰れるかも知れず、戦わなくてもいいと言われ、自分ならどんな反応をするだろう。
再び、武器を持って立ち上がれるのだろうか。
到底、無理だろう。
当時の彼らの武士道や愛国心。家族や故郷に対する尊敬や親しみは今となっては考えられないくらいに深かったに違いない。
彼らが守ってくれた北海道で、俺は胸を張れる仕事をすることが出来るのだろうか。
いつも考えてしまう。
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