湘南ライフへ①

思えば失意の転勤だった。期待していた昇進も保証されていないし、営業所も都心から離れた。この１年精一杯やってきたのは何だとも思った。通勤時間にしても片道１時間半以上。乗り合わせ悪けれゃもっと。だがこれもリーマンが背負うべき宿命。そして俺には才能がないのか。
帰り道、俺は本屋に寄った。鎌倉・茅ヶ崎市・小田原。旅行ガイドブックが輝いて見えた。『せめて楽しむか』俺は旅行ガイドブックを手に取った。奥さんに引っ越しを
認めて貰い、翌日には引っ越し資金として従業員財形を一部解約した。

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